きょうの「プロフェッショナル・仕事の流儀」再放送は忘れないように見る。

で、d:id:QtGqCwfDSA:20080212 で書いた asin:B00118YOIY だけど、まあまあよかった。「まあまあ」の理由はやっぱり武部聡志版「春の日」で、菅野よう子アレンジに比べるとちょっと弱い。でも歌唱は今回のアルバムのほうが好き。

川江美奈子版の「遠い街から」はすごいよかった。久石譲が担当した原曲がピアノ中心のアレンジで今回の企画と丸かぶりだったから、どう対抗するのかなと思っていたら、元TRY-TONE*1らしくコーラスを重ねてきた。これがすごい気持ちいい。ちょっと気になったのが「街のイルミネーションが〜」の「ネー」が「ネエ」になってたとこ*2。もちろんアクセントを弱くし、音符にやわらかめに乗っかることでそれほどバカっぽく聞こえることは無いのだけれど。こういう母音の処理についてはぼく自身ちょこっと歌っていた経験でイヤでも耳に止まることが多いのです。

7曲全部聴くと、ピアノ担当の個性がそれぞれちゃんと音に現れてる。小曽根真、大野雄二、塩谷哲が伴奏という形で一枚のアルバムで聴けるって冷静に考えるとすごいよね。asin:B0000D8RRW で見てる側が嫉妬するぐらいかっこいいピアニカを吹いてた倉田信雄が今回も渋いったらないもの。

しかしさ、20年以上のキャリアで歌唱が衰えないのはやっぱりすばらしい。もちろん生理現象として誰でも年齢を重ねるとどうしても声域が低くなるのだけれど、代わって出てきた声のつやがそれを十分にカバーしてる。「瞳がほほえむから」をヘッドホンで聞くと、河野圭*3の無駄の無いアレンジとあいまって生々しさというか女性特有のなまめかしさに引き込まれる。

なんていうんだろう、彼女の歌唱を聴くたびに「女性らしさ」を自分の中で強く意識させられて、はっきりいってすごいうらやましい。この声が自分自身のものになるのなら平気で魂売るね。これも手を伸ばしても届かないものに対する絶望感の一つ。

マスタリング担当は宮本茂男だし、ジャケットデザインもすごいかわいくて*4、まじめにつくってる感がちゃんとつたわってくる。最初でまあまあって書いちゃったけど、ブックレットを見ながら聴いてると恐ろしい一枚なんじゃないかと思えてきた。むしろ歌唱は添え物でピアノのアルバムとして捉えたほうがいいのかも。

*1:そういやhttp://www.honda.co.jp/cmdata/corporation/fcx/cm1/index.html のバックコーラスもTRY-TONEがやってたね

*2:原曲では「ネイ」でした

*3:宇多田ヒカルのアレンジをたくさんやってる人。もうちょっと注目されていいと思うんだけどなあ。ぼく自身は歌い手としての宇多田ヒカルには興味がないのだけれど。

*4:Love of my lifeもやってた中島英樹が今回も担当